私立郁文学園 あつあつ 結花

9月12日(Sun)

匡輝 『その夜の出来事』

 運動会は成功のうちに終了した。

 正直なところ本番では特に看板長なんて連中は前日までの作業でフラフラになっていて、さらに正規の競技にも出なくてはならないわけだから、あまり周りを見ている余裕はない。それに応コンや演舞、応援団などは今日が本番だが、看板というのは運動会のスタンドに花を添えるものであって主役ではない。だから看板長も気にすることと言えば看板が落ちるようなことはないかと時々スタンドに登って確かめるくらいしかないのだった。

 昼は家族のところで食事をした。結香は一緒に弁当を食べたそうだったが、やはりこういう時は家族と一緒に過ごすのが子のつとめ。俺達は良くてもせっかく来てくれた家族に申し訳ない。

 五時には全プログラムが終わり、理事長による閉会挨拶の後は観客も生徒も潮が引くように帰っていく。郁文学園運動会は準備には2ヶ月をかけるが、終わりは速やかだ。後夜祭はなく、六時には用事のない者は全員下校。片づけはすべて明日行われる。

 俺は一人で看板倉庫に来て、マットの上に横になっていた。

「疲れた…」

 独り言を言う。ゴッちんはもう的音と一緒に帰ったし、他の幹部連中もだいたい帰った。坂崎や橋本は何やら運営主催の秘密飲み会が合宿所であるとかで酒瓶を抱えて四体に集合しているらしい。俺も誘われたのだが、今はちょっと疲れていて行く気が…

 瞼を閉じた。マットは昨日応コンの連中が日に干していたからかあまりほこりっぽくはなく、むしろ気持ちいい。俺はそのまま眠りに引き込まれていった。

 

 サー……パタパタパタ……

 ふと俺は目を覚ました。水の流れる音がする。

(雨か…)

 もう倉庫の中は真っ暗だった。闇に慣れた眼でもおぼろに壁とか立てかけたパネルとかが見える程度だ。

「ふう…」

 起きあがろうとして、俺は横にいる何かに気がついた。

「クウ…クウ…」

 小さな寝息が聞こえる。こちらに背を向けたそのシルエットは、明らかに女の子のものだった。小さな肩がすこしだけ寝息と共に上下し、Tシャツがすこしめくれて短パンとの間から背中がちょっとだけ見えている。

「うん…」

 とりあえず動けなくなった俺の眼の前でその女の子が寝返りをうった。こちらを向いたその顔は…

「結香!?」

 思わず名前を呼んでしまう。その声が聞こえたのか、結香はゆっくりと目を開いた。

「あ……」

「お、おはよう」

 間抜けな挨拶をしてしまう。結香は「…おはよう」と恥ずかしそうに答えるとやおら起きあがって慌ててTシャツのすそを整えた。

「ご、ごめん!起こすつもりだったのに、私まで寝ちゃった。へへ…」

 何でまたそんな事になったのかはしらないが、とにかく今はそんな事を聞いている場合ではない。

「今何時だ?」

 携帯を取り出してバックライトを点けると、そこには『22:13』の文字があった。

「うわ、十時過ぎてるぞ。結香、バスは」

「…もうない。雨も降ってるし、どうせ今日は学校に泊るつもりだったからいいんだけど」

「そ、そうか」

「匡輝は?」

「俺も泊るつもりだ。四体で打ち上げがあってるらしいから」

 そこで思い出した。そうだ、四体に行かないと。

「ね、ねえ、匡輝」

「ん?」

 立ち上がった俺に、マットの上に座ったままの結香が声をかけた。気のせいか、声が震えているような気がする。

「ち、ちょっとでいいから…ここに、いない?…い、急ぐ?」

 ちらっと目をあげる結香が急に色っぽく見える。何かのスイッチが入ったようにいきなり鼓動が速くなった。ドキドキドキと音が聞こえる。

「そ、そうだな。まだいいか」

 俺はなるべく平静を装うとまた結香の隣に座った。

 二人で壁に背中をもたれかけてマットの上に足をのばす。雨の音は少し激しくなったようだった。

「雨、昼に降らなくてよかったね」

「そうだな…運動会が終るのを待ってたみたいだ」

「看板、濡れちゃうね」

「…そうか」

 看板パネルはまだスタンドにくくりつけたままだ。今も雨に濡れているだろうがもう役目は済んだし、少々雨に濡れたとてはがれる事もない。

「一位だったね。おめでとう」

「結香もな。良かったな」

 南軍は看板、女子演舞、そして応コンで一位を取った。配点の高いこれらの種目でトップを取ったために終盤までブロックとしても一位をキープしていたが、最後の方で男子タンブリングと混合リレーで北軍に遅れをとり逆転負け。それでも二点差での二位という立派な戦績を残して今年の運動会は終了した。

「演舞、みてくれた?」

「綺麗だった。だんトツで良かった」

 お世辞でもひいき目でもない。結香達の演舞は鋭く、繊細で、それでいて華やかだった。北軍はバレエを取り入れた動きで喝采を浴びたし、西軍も東軍も良い演舞だったがやはり結香達は飛びぬけていた。

 赤い袴と白い胴着という巫女を思わせる衣装、そして美しく軌跡を描く演舞刀。そして何よりも洗練されたその動き。全校生徒のみならず、観客もただその演舞に見とれていた。終わってからしばらくは誰も言葉を発することができず、拍手が始まってからはアナウンスでとめられるまでそれが鳴り止まなかった。

 結香は微笑む。

「匡輝のおかげだよ」

「俺は大したことはいていない」

 せいぜい演舞刀を修理したくらいだ。あの見事な演舞は結香と演舞員達の努力の結晶だ。

「ううん。匡輝がいなかったら私達、みじめな事になってた。匡輝がいたから私は頑張れたんだもの」

 結香の肩がそっと俺の肩に触れた。そのまま静かに結香の頭が俺の肩にもたれかかってくる。

「ね、こうしてていい?」

「ああ」

 どう答えていいかわからなくてとりあえずぶっきらぼうに返事する。

「本当に今こうしてるなんて…夢みたい」

 結香はくすくすと笑った。長い髪が俺の腕をくすぐる。

「ね、知ってた?私、匡輝の事大嫌いだったんだよ」

「う…そうなのか。まあわからなくもないが」

「人の着替えを覗いておきながら眉一つ動かさないんだもん。覗かれた事よりも匡輝がまったくうろたえなかった事の方がショックだったわ」

 うろたえなかったわけじゃないんだけどな。

「それで、いつの間にか匡輝の事が気になってきて…ね、匡輝は私の事をいつごろ気にしてくれるようになったの?」

「最初から」

「嘘ばっかり」

 結香は俺の腕を軽くつねった。

「あのね、間違ってたらごめん。でも…匡輝、藤堂先輩の事を好きじゃなかった?」

 驚いた。

「…やっぱり」

「…どうしてそう思う」

「女のカン。…もう、笑わないで。本当に理由なんかなくてそう思ったんだから」

 結香が口をとがらせた。俺は顔をよせる。

「結香に嘘はつけないな。…ああ、確かに前、俺は的音が好きだった」

「今も気になってる?」

「いいや」

 俺ははっきりと首を振った。

「もうとっくに気持ちの整理はついてる。言っとくけどゴッちんの恋人になったから諦めたとかそういうんじゃないぞ。元々憧れみたいなもんで、それほど深い気持ちじゃなかったんだ。それに」

 俺は結香の肩を抱いた。

「第一俺は結香が好きなんだ、知ってるだろう?」

「……うん。私も匡輝が好き」

「結香」

 静かに唇が近付いて。

 ピカッ!

 急に倉庫内が閃光にあふれた。

 ゴロゴロゴロッ!!

 続いて大音響が響く。

「うわ…かなり近かったなって、結香?」

 結香は俺の胸に固く抱きついて顔を埋めていた。背中にまわされた手が痛いくらいだ。

「結香、雷苦手なのか?」

 コクコク、と小さく頷く結香。

 カッ!……バリバリバリッ!!

 また落ちた。一度は顔を上げた結香がまた俺に必死に抱きつく。その勢いに押されて俺はマットの上に倒れた。結香が上に乗って抱きついてくるからまるで押し倒されたみたいだ。

「大丈夫、大丈夫だから落ち着け。ここには落ちないから」

 落ち着かなくちゃならないのは俺もだ。胸の中の結香の感触。柔らかくてあったかくて愛おしい。そしてさっきから腹にあたる弾力のある…結香の、胸。

 必死にその事を考えないようにするが、若さあふれる俺の息子はどんどんその力を増して行く。いかん、落ち着け俺!こんな時に何を考えてるんだ!

「か、雷が落ちる事なんてまずないのは、わ、わかってるの。でも理屈じゃなく、怖いの」

「ま、まあそう言うのは理屈だけじゃないからな…」

 胸の上の結香の頭をよしよし、と撫でる。結香は顔を上げてちょっと涙眼で、でも嬉しそうに笑った。

「うん……あ」

 そこでやっと自分の体勢に気がついたらしい。慌てて身を離そうとして、でも結香の動きはそこで止まった。

「結香?」

 ぽふん、とまた結香の身体が俺の身体に重なる。今度はさっきよりも上。顔が重なるような位置。

「…ん…」

 キスした。唇を触れあわせ、その柔らかさを味わう。手は肩を抱いている。その手が胸の方に動きそうになるのをなんとか意思の力を総動員して止める。

「あ……」

 だが手は止められても股間の昂ぶりは止められない。股の間には結香の太ももが触れていて、それが少し動くたびにもう大きくなりかけているペニスにこすれる。その度にどんどん股間が熱く、硬くなっていく。

「ま、匡輝。私の足に、その…」

「い、言うな。これは男の生理というもので、俺の意思だけじゃどうにもならんもんなんだ」

「……意思とは、違うの?」

 真っ赤な顔で、でも頑張って口を開く結香。

「…違わない」

 誤魔化しは無駄だし、かえって結香を傷つける。

「…ね。前に『心の準備が出来てない』って言ってたよね」

「ああ。あの時は、まだ」

「い、い…今は…?」

 震えながら小さく、とても小さく呟く。俺は答えを求められている事に気がついた。男ならこういう時ははっきりしなくちゃいけない。

 答える。

「出来てる。でも、結香はいいのか」

 聞いてから聞かなくてもいい事を聞いたな、と気づいた。こんな事に返事が出来るはずがない。

「……わ、私は……」

 目をつぶり、なんとか一言を絞り出そうとする結香に、俺は黙って口づけた。

「あぅ」

「結香。ここで抱く。嫌なら嫌って言ってくれていい。絶対に無理強いしないし、それで嫌いになったりもしない。でも、もし嫌じゃないなら、キスさせてくれ」

 そう言って結香の頭を優しく引き寄せる。結香は、一瞬固まって…それから、自分から唇を重ねてきた。

「んっ…」

 舌がちろちろと俺の唇の前で戸惑う。俺は自分の舌を出して結香のそれをなぞった。

「はぅ!あっ…ああ…」

 くるり、と反転して上になる。そのまま結香の口に舌を滑り込ませ、歯ぐきを舐め、口蓋を舌で愛撫した。結香もなんとか舌を出して俺にからませてくる。

 俺達はしばらくそんなキスを繰返していた。

「はっ…はぅ…も、もう…匡輝、キスがえっちだ」

「これからもっとエッチになるぞ」

 そう言うと俺は手の平をふっくらと盛りあがっている結香の胸に置いた。

「あう…む、胸、触られてるよ…」

「優しくするから」

 そう言う。どちらかと言うと興奮のままに動こうとする自分を抑えるための言葉だったが。

 優しく、優しく胸を揉む。だがそれでも強すぎたらしく、結香の眉が揺れた。

「ごめん、痛かったか」

「い、痛くはないの。あのね、あの…」

 ちょっと気持ちよかった。

 小さい声で言って可愛い舌をちろり、と出した結香が愛しすぎて、背筋がゾクゾクッと痺れる。

 俺は続けて結香の胸を揉み続けた。柔らかく、でも弾力に満ちたそれはTシャツとブラの上からでもはっきりとわかる。

「はぅ…あん…胸ばっかり…」

 と、手の平に今まではなかった突起を感じた。これは…。

 くにっ、とその突起を人差し指で軽く押し込む。すると結香が

「やっ!あぁっ!」

 と小さく悲鳴を上げてキュッと肩をすくめた。

「も、もう!いきなりそんなとこ弄るなんて…イジワルぅ…」

 快感からか、結香の頬がさらに上気する。俺は調子にのってその突起を今度は軽くつまんでみた。

「はぅ!あ、あ…くぅ、ダ、ダメよ…」

 ピクン、ピクンとその度に結香の身体が動く。吐息が甘い。

「結香、脱がせていいか」

「……うん。脱ぐ…」

 俺が身体をずらすと結香は上半身を起こした。手をTシャツにかける。俺はその手を優しく押さえた。

「脱がせるっていっただろ。ほら、じっとしてて」

 そう言って結香のTシャツに手をかける。

「や、やぁん…恥ずかしいよぉ…」

「ほら、両手を上げて」

「くぅん…も、もう…」

 そう言いながらも結香は素直に両手を上げてくれる。Tシャツが上に上がっていくと、薄いピンクのブラが見えた。

「そのまま手をあげていて」

 そのまま押し倒したくなる衝動と戦いながらなんとかTシャツを脱がせる。

「次はブラを取るよ」

「と、取るの…?」

「取る。ほら、手をどけて」

「あうー……」

 胸の前で頼りなげに揃えられた両手をそっと開く。フロントホックのブラだ。俺は両足を揃えて少し崩れた正座みたいな格好で座っている結香の前に膝立ちになると、結香の胸の真ん中に手を添え、ホックをプチン、と外した。

「あ……」

 ブラはパラリと両側に分かれた。そのまま結香の白い肩からするりと落ちていってしまう。

 俺の眼はようやく現れた結香の胸にくぎづけだった。

 ふくよかな膨らみは奇跡のように丸く、綺麗な形を保っていた。その頂点にピンク色の小さな乳首がちょっとだけ自己主張をしている。

「綺麗だ」

「ち、小さくて…恥ずかしい」

「小さくない。…触るよ」

 結香が首を左右に振らないのを確認してから俺は結香を怯えさせないようにゆっくり、優しくその胸に触った。

 ふにゅ

 指が沈みこんだ。でもいくらか行くと今度はマシュマロのように弾力豊かに俺の指を押し返してくる。

「はぅ…あう…お、大きい手…」

「柔らかい。気持ちいいよ、結香」

「ほんと?」

 頷くと結香はえへへ、と本当に嬉しそうに笑った。

 今度は両手で、下からすくい上げるように両方の乳房を揉む。何かの本で読んだように人差し指と中指の間に立ちあがり始めた乳首をはさみ込むようにして揉むと、結香の喘ぎが少し大きくなった。

「きゃう!あっ、そ、そんな触り方、えっち…!」

「少し、気持ちいい?」

 コクコク、と結香が頷く。

「す、すこし…じゃなくて、気持ちいい…あぅ…はぅ…!」

 時々結香の太ももがきゅっととじ合わされ、また開かれる。俺は胸を触る手を止めた。

「ま、匡輝ぅ…」

 甘い結香の呼び声が「やめないで」と言っているように思えてしまう。だが俺は次のステップに進むべく、結香の肩を抱くとゆっくりとマットの上に倒した。

「あん…」

 キスをする。それから結香の短パンのボタンに指を掛けた。

「ね、ねぇ…匡輝も、脱いで。私ばっかり、ずるいよ」

 それもそうだ。俺はすっかり汗ばんでしまっているTシャツを脱ぎ、立ち上がると今度は一気に柔道着をトランクスごと下ろした。

「…きゃっ!!」

 もちろんペニスは痛いくらいにそそり立っている。先走りはもうトランクスをさっきから濡らしていた。

「お、大きいよ…これが匡輝の…」

「こら、そんなにマジマジ見ないでくれ」

 こちらもあれだけ結香の胸を弄り回しておいて何なんだが、やはり男のモノというのは欲望の象徴だからあまり好きな娘に見せたいものじゃない。綺麗でもないしな。

「ねえ…ぬ…濡れてる」

「男も濡れる。聞いたことないのか?」

「うう…知ってるけどぉ…見るのは初めてなんだもん…」

 興味津々、という感じだ。

「じゃあ結香も」

「はぅ!…う、うん、そうだよね。私もだよね…」

「そう言うことだから、はい、じっとしてて」

「また脱がせるのぉ…恥ずかしいのにぃ…」

 そうは言っても寝た状態で短パンを脱ぐのはなかなか難しいと思う。俺は短パンのボタンを外すとチャックを下ろした。ブラとお揃いらしい淡いピンクのショーツが見える。

「お尻上げて」

 くいっと結香が腰を上げる。ものすごく扇情的に見えてそのままむしゃぶりつきたくなる。俺は荒くなる息と跳ね回る心臓を感じながら、結香のショーツごと一気に短パンを引きおろした。

「って!匡輝、ダメダメーっ!」

「もう遅い」

 結香のショーツは短パンと一緒になってもう膝の辺りまで引きおろされていた。

「ううーっ!えっちえっちえっちーっ!匡輝のどすけべーっ!」

 慌てて大事な所を隠そうとする結香の手をおさえる。

「俺はとてもえっちだよ。それにさ」

 俺は顔を真っ赤にして睨みつけている結香に笑いかけた。

「今からもっとえっちな事をするんだぞ?」

「うっ…!そ、それはそうなんだけど、だけど!」

「ほら、全部脱ごうな」

 俺はなんのかんの言いながら足を閉じようとはしない結香の脚から短パンとショーツを取り去った。

 結香の身体に残っているのはもう靴下だけ。俺にいたってはもう完全に何も身につけていない。

「結香」

「…もう…」

 俺と結香はまたキスをした。体重を掛けないように結香の右側に左腕をつき、右手をそっと結香の大事な所に近づける。

「はぅ…!」

 たどりついた時、もうそこは熱く潤んでいた。よくわからないながら多分こうだろう、と思って淡い茂りの真ん中に指を沈める。

「あ、あぅ…くぅ!」

 結香はくっと手を握ってその刺激に身をよじった。痛がっているようではなく、どちらかと言うと快感に戸惑っているような仕草。俺は結香が感じてくれている事に嬉しくなって今度は中指を少しだけ中に差し込むと、くるくるとかき回した。

「…は、ひぃ!す、すごいぃ…あん、ああん」

 指が結香の愛液に濡れる。結香は濡れやすい方なのか、次々に涌き出してくる感じだ。と、指が滑って少しだけ開きだした結香の溝の上の方を擦った。

「くうぅぅん!きゃ、あぅ…!」

 途端に結香がぐうっと仰けぞる。

「はふ、はぅ…ま、匡輝ぅ、そんな…いきなり…」

 ちょっと恨めしそうな眼をされて困る。

「すまん、そんなに急にするつもりはなかったんだ…」

 どうやらクリトリスを弾いてしまったらしい。

「痛くなかったか?」

「だ、大丈夫…て言うか、すごかったぁ…」

 うっとり、という瞳の色がとても色っぽい。実はかなりお気に召したらしい…が、最初からクリトリスばかり責めるのは辛いだろう。何しろお互いに初めてなんだから。

 俺はまた結香の秘裂に指をそっと沈めた。今度は少し大胆に、やや深めに差し入れる。

「ま、匡輝…深いよ…」

「痛くしないから…」

 戸惑いながらも結香は少しずつ脚を開いてくれる。俺も興奮に荒い息をつきながら、それでも力任せにならないように優しく、優しくと自分自身に言い聞かせつつ指を動かす。そうしないと欲情のままに結香を蹂躙したくなる。もうペニスは限界まで充血している。もし今結香に握られたりしたらそのまま射精してしまうだろう。

 もう二人とも汗だくだった。ただでさえ看板倉庫は熱がこもる。その中で二人とも昂ぶっているのだからほとんどサウナにいるような感じだ。そしてその熱い汗が二人の肌の間で潤滑油のように滑り、その度に肌そのものが快感に震える。

「あっ、ああっ…ダメ、ダメ…気持ちいいよぉ…」

 時々手の平がクリトリスを触る。結香がその度にピクピクと震える。俺は目の前でふるふると揺れるピンと立った結香の乳首を唇ではさんだ。

「ひゃう…!くぅ…感じちゃう…!」

 ぱくり、と乳首を口に含み、尖ったそれをペロペロと舐め回す。もちろん秘裂を弄る右手も休ませない。

「ひぅ…ま、匡輝ぅ…私、私、もうダメ…」

 すっかり力の抜けてしまった結香が震える声で呟く。

「ね、来て。ちゃんと、して…」

 俺ももう我慢なんかできなかった。頷くと身体をおこし、結香の脚の間に入る。結香はもう脚を開く力もなさそうなので、太ももに手を当ててグイ、と開く。

「はぅ…こんな、格好…」

「可愛いよ、結香」

 本当にそう思った。快感と興奮に肌を火照らせてしどけなく脚を開いている結香は…とても可愛くて綺麗で魅力的だ。その恥じらいが俺のペニスをまた震わせた。

 俺は横たわった結香の上におおいかぶさった。体重を乗せないように左手を結香の右脇につき、右手で自分のペニスを握って位置を調整する。最初はたいていうまく入らないものだと聞いていたので、本で読んだとおりに自分の思う位置よりもやや下の方にペニスを当てた。

「あ…熱い…」

 結香が呟いた。だがそれは俺にとっても同じことだ。熱い雫が俺のペニスを濡らす。そして、グイ、とそれが沈みこんだ。

「結香…ここでいいか…?」

「そ、そこ…入って…くるよぉ…」

 結香はきゅっと両手で俺の左腕を握った。ぽたぽたと俺の汗が結香の胸に落ちていく。結香の身体も汗に濡れ、俺の汗と混じり合う。

「くぅ…!」

 狭い結香の中に…入って行く。

 両手を結香の身体の両側につき、身体を支えながら少しずつ腰を進めていく。ペニスはきつく締めつけられ、痛いくらいだ。充分に愛撫をしていたとはいえ、処女の秘所はかたくなに異物を排除しようとする。

「はっ…はっ…はぅ…!」

 苦しそうな結香。

 多分串刺しにされるような苦しさと痛さに耐えているはずだ。男には理解することのできないその苦痛。

 だが結香は優しく微笑んだ。

「来て…ね、お願い…」

 俺はグイッ!と腰に力を入れた。ズン、とさらに一段ペニスが奥に入る。だがまだ半分以上が残っている。

 締めつけられて痛いくらいだったペニスが結香の中で快感に震えた。何かが亀頭を吸い込むような、取込んで行くような快感。

 だがそれは男だけのものだ。

「いっ…!ひぅ…」

 結香が声を呑み込む。『痛い』と言いたかったのでは…でも俺の事を気遣って一所懸命に耐えている。その事が苦しくて、でも結香が俺の為にその痛みに耐えてくれる事が嬉しい。そんな事を思うこと自体最低だと思いつつも、もう腰が溶けていくような快感に何も考えられなくなっていく。

「結香、結香…気持ちいいよ、結香」

「あぅ…匡輝ぅ…嬉しい…!」

「結香、行くよ…!力、抜いて…」

 無理だと知りつつもそう言って、俺はもう快感のままに一気に腰を押し込んだ。

 ズシン!

 奥までペニスが結香の中に入った。何かを強く押しのけたような感覚がある。多分、処女膜だろう。

「ーーっ!」

 結香がキツく眼を閉じて痛みに耐える。俺は射精しそうになって必死に尻に力を入れて耐えた。まだだ。最初から気持ちよくなってもらうことは無理だろうけど、せめてちゃんと抱いてあげなくちゃ。俺だけが入れて出して終わりなんて…。

 やがて結香の息が少し落ち着いてきた。

「はぅ…入った…?」

「ああ…、奥まで入った。結香、もう離さない」

「うん…うん。離さないで」

 つながったままでキスを交わした。唇をついばみあう。

「う、動くんでしょ?私はもう大丈夫だから…動いていいよ…」

 まだまだ痛いだろうに結香は微笑む。俺も微笑み返す。そして、少し腰を動かした。

 クチュ…!

「はぅ…あっ…」

 結香の手が何かを掴もうと動く。俺はその手の平に自分のそれを重ねた。

「匡輝…」

 小さくバンザイをしたような格好の結香の両手を握り、俺は腰を動かし始めた。あまり大きくは動かせないが、それでも熱い快感が腰から昇ってくる。

「くっ…!気持ちいい、結香」

「うん、うん…!」

 クリッ!

「…はぅーっ!」

 腰を動かす角度を変えた時、結香の反応が変わった。痛みや苦しみじゃなく、明らかに快感を訴える仕草。

「…こうか?」

「は、はぅ!そ…そこぉ…変だよぉ…」

 苦しそうな声の中に混じる甘い喘ぎ。だが、俺の方ももうそろそろ限界だった。

「結香、俺もう…!」

「い、いいよ…来て…」

「な、中は…」

 一応言うだけは言う。

「き、今日は…はぅ、だい、大丈夫だからぁ…お願い、お願ぁい…!」

 もう限界だ!

「結香!結香!」

「匡輝ーっ!」

 ドクッ!

 きつく結香を抱きしめた瞬間、俺はおもいっきりペニスを奥に打ち込んだ。

 ドクッドクッドクッ!

 脈動に合わせて際限なくと思えるほどに精液が結香の中に打ち込まれていく。結香の膣はその最中も絞り上げるように俺のペニスを締めつけていた。

 その物凄い快感はやがて終わりを告げた。だがあまりにその余韻がすごくてなかなか起きあがれない。

「はふぅ…ふぅ…」

「ゆ、結香…大丈夫か…?」

 俺は横になったまま結香にたずねた。身体を何とか横にすると結香もこちらに身体を向ける。身体の前に揃えた腕の間で乳房がクイ、と強調された。

「はぁ…凄かった…」

 俺の視線に気がついて結香は微笑みながらちょっと俺を睨んだ。ま、見るだけだ。

「それは…俺も同じなんだけどな」

「えへへ、えとね…最後は…けっこう気持ちよかったんだよ…」

 結香は照れながらも微笑んだ。

「佳子とかが痛いだけかもーなんて言ってたからちょっと怖かったんだけど…最初も気持ちよかったし…う、うわっ、私何言ってるんだろ!」

「いや、そう言ってくれて嬉しい」

 俺はかなりホッとして肩の力を抜いた。

「何しろ初心者なものだから…少しでも結香が感じてくれたなら」

「ベテランだったらヤだよ。でも、匡輝も感じてくれたんだよね…?」

「とても、な。全部搾り取られるかと思った」

「しぼ……!」

 ボン、と結香が真っ赤になった。

「なななにを言ってるのよぉ!えっち!」

「……俺達が今までやってたことは何なんだ」

「そ、それはそうだけどっ!もうー…」

 何となく言葉が途切れる。

 ザーーーー

「…まだ、雨降ってるね…」

「ああ…そう言えば、飲み会に行かなかったな」

「…行きたかった?」

 ちょっと拗ねたような結香。

「まさか。たださ、誰か探しに来たりしないかと思って」

「う…そ、それはちょっと…」

 何しろ二人とも裸だ。それにこの有様を見れば何をしていたのかは一目瞭然。

「ま、あんまり心配しなくてももうみんな酔いつぶれてる頃だろ」

「ね」

 結香がピト、と抱きついてきた。結香の乳房が俺の胸板の上で柔らかくつぶれる。

「このまま、一緒に寝ていい?もう疲れちゃったし…やっぱり最初の時は…一緒に寝たい」

 ささやかなわがまま。あまりに控えめなおねだりだ。そんな事願わなくたって、あたりまえのことなのにな。

「俺も、そうしたい」

「匡輝…好きよ」

 俺達はまたキスをして、それから多分二人同時に眠りに落ちた。

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