真月譚 月姫

紹介

 同人ゲームながら『ポスト・痕』と呼ばれ、その後すさまじい勢いでオタク界を席巻したゲーム、月姫。そのアニメ版です。

 遠野志貴は幼い頃に大事故に遭い、奇跡的に生還しました。しかしその時に何かのチャンネルが開いたのか、彼の目には他の人には見えない、『死の線』が見えるようになってしまったのです。

 それをなぞればあらゆるもの…無機物・有機物を問わず「殺せる」線。それを見ることができるようになってしまったのでした。その能力は志貴を追いつめますが、彼は『先生』に会うことができました。彼女がくれた眼鏡をかけるとその線は消えます。志貴は常にその眼鏡を手放さずに生活してきました。無理の利かない弱い身体ですが、何とか生きていたのです。

 ですが死にかけた身体の弱い息子を父親は嫌い、親類の家に預けました。

 成長し、その父親も死んだ後、彼は遠野の屋敷に戻ることになります。そこで長く別れていた妹、秋葉と再会します。そして双子の翡翠、琥珀。今は使用人として遠野の屋敷で働いている彼女たちですが、志貴はそのどちらと幼い頃によく遊んでいた思い出を持っていました。

 翌日、志貴は町で金髪の美少女をみかけます。「珍しいな」としか思っていなかったはずの志貴。しかしその時、何かが身体の中でふくれあがります…。

「あの女を……たい」

レビュー

 というのが原作のゲームの序盤の展開です。アニメ版もまあだいたいこれに近いんですが、問題はアルクを解体する時と場所。遠野の屋敷に行く前、それも公園で…?ううーむ…まあ時はいいとしても公園で解体なんかしちゃったら大変、というよりアルクがそう簡単に解体させてくれるはずはありません。原作ではマンションで不意をつかれたからやられちゃったわけで。

 それに琥珀さんが連れてきたって、それじゃ血だまりの中から志貴を拾ってきたのか、あるいはアルクがあっという間に回復して自分を殺した奴を無視して帰っちゃったのか。どちらもあり得ないと思うんですがねぇ。

 どうもアニメ版は『萌え』をなるべく排除して原作のシリアスな雰囲気を出そうとがんばるあまり、必要な萌えも切り捨ててしまったように感じます。シリアスと言うのはやっぱりある程度のコミカルさと萌えがあって初めて引き立つものですよ?たとえば餡に塩を入れるようなものです。

 そういう意味で真月譚はややアレな出来でした。再挑戦してほしいところです。

人の山田様が見てる

凉武装商隊 since 1998/5/19 (counter set:2004/4/18)